2018-07-29
深堀隆介の金魚に会いにいく
2010年に羽田空港にDiscovery Museumができて、そこで深堀隆介の金魚に初めて出会った。生きてる、と見まごうばかりの金魚たち。以来、機会がある毎に作品展に行って新作を見るのを楽しみにしています。
大きな展示としては2013年サンシャイン水族館、2016年池袋西武の回顧展、そして今回の平塚市美術館。
2015年上野東京ライン開通のおかげで、上野から平塚まで乗り換えなし!贅沢にグリーン車に乗ります。2階建て車両の2階席! そして私は車両の一番前席が好きです。
平塚市美術館は市立の美術館とは思えない立派な建物でした。ああこういう(一見)無駄(にみえる)空間大好き。市がこんな美術館持ってるなんて贅沢すぎる。さすが人口25万人都市。商店街が長くて大きい。国道一号線沿いの町。
ちなみに隣の市立博物館にも行ってみた(無料!)。つくづく大昔から人がいる町。海の恵みがあって、広く田んぼが作れて、川も山も近いとなればそりゃ遺跡量産です。東海道の宿場町として発展し、海軍基地となれば、そりゃ空襲もあるだろうよ・・・と思わざるを得ない展示内容でした。
最近は撮影OKの作品展示があってうれしいです。最新作「平成しんちう屋」。
こういう大きな作品もいいけれど、私は最初に見た金魚酒シリーズが一番好き。枡の中に金魚がいる。その閉じ込められた美しさ。
今回の展覧会では、一番最初に2003年と2017年の枡を並べていて、その違いを分かるようにしてくれていたのがよかった。
2003年の作品だって十分すごいのだけれど、2017年のものに至ってはほんとに立体にしか見えない。ブルーレイを見たらブラウン管には二度と戻れないように、解像度が違うのです。
今回は枡作品が多かったのもうれしかった。制作年代を丁寧に追っていくと、尾ひれの美しさに、鱗の立体が追加される。2010年の作品あたりから、化ける、という言葉がふさわしいくらい立体感が出る。
2018年新作の五合枡の金魚は、えらや目玉まで立体的で、すぐにでも泳ぎだしそう。私としてはひたすらこの枡金魚を大量生産してくれればいいのに、と思ってしまうのです。
今回は展覧会に合わせて作品集が書籍化していて、写真がとてもよかったので購入。今回の写真はよく撮れてる!、と思ったら深堀氏自身が撮影したものが多かった。納得。
帰りは、湘南新宿ラインのグリーン車に乗って渋谷まで。渋谷西武の無料展示はとても小さかったけど、見られてよかった。枡金魚が30万超で抽選販売してましたが、申込はせず。
私はこの人がこれからもずっと枡金魚を描き続けてくれるのを願う。そして機会がある毎に、展覧会に足を運ぶ。
2016年西武池袋での展示作品
2018-07-28
夏着物ロマンチカ
暑いからかき氷を食べに行こう!というので浅草まで。
友人が浴衣を着るというので、せっかくなので白い着物引っ張り出します。
カワセミの夏帯は古いけれどかわいいのです。
綿麻の夏着物なんてTシャツみたいなもの。
帯は名古屋だけど、枕と帯揚使わずに、帯締だけで適当結び。
着物を着るようになってから、帯結びの本を買って本通りに色々やってみたけれど、普段着の着物は帯も適当でいいなと最近思うようになってきた。ルール通りに結ばないといけないのは訪問着からでいいかな~と。
つぼ市のかき氷。でかい! 久しぶりにかき氷食べました。あったかいほうじ茶がまたおいしい。
アクセサリー作家の帯留をお試しさせていただいた。私はあんまりこういうひらひら繊細な帯留をつけないけど、たまにはいいな。白い着物に合います。
2018-07-21
行ってみたらあらためて新潟が異世界だった
小学生のとき自分の生活圏が「瀬戸内式気候」という学習をして「冬あたたかく夏涼しい」「年間を通じて晴れが多い」という、なんとも暮らしやすい地域であることを知った(夏の渇水が問題点ではあるが私の地元ではそうでもない)。さらに雪もまったく降らないわけではないので、四季がはっきりしているわりに温和。正月に帰省して雪が降ったりすると「歓迎されてるね」と言われる。子どもが生まれた日に雪が降ったから、それにちなんだ名前をつける。雪が「天からの贈り物のように思える」のが愛媛というお土地柄である。
そんなだから新潟の人と話をすると、もう申し訳ないくらいに異世界なのです。昨年、越後湯沢に行ったら、川端康成の「雪国」が読みたくなり読み直した。正直親の金で女を振り回す最低な男の話と思っていたのだけれど(そして実際そうだったわけだけれど)、「雪国」への憧れと畏怖のようなものを持って読んでみると、その土地の恵みと人々の生き様が、時代背景とともに如実に映し出されていて、それを美しさというのなら、それはたしかにノーベル賞ものだろう、と思ったのでした。
清水トンネル開通が昭和6年。「雪国」の刊行が昭和12年。長いトンネルを越えて雪国に行く、というのはある意味贅沢なんだろうと思う。
そんな話を新潟六日町出身の恩師としたら、「北越雪譜」を読むといい、と言われて、読んだ。雪で簡単に人が死んでいく。これは「遠野物語」と同じ類のお話(事実を淡々と書いていく)だと思った。土地の話はその土地に行かないといけない。で、鈴木牧之記念館があるというので、塩沢に行くことにした。
塩沢紬は色がかわいい。多色展開しだしたのは合成染料が普及した最近からなのだろうけれど。塩沢紬より前に、越後上布が織られていたという。絹ではなく麻で織る方が手間がかかる=高級品。麻の糸を濡らしながら織る様は、湿度が高い地域の冬仕事と思う。糸を濡らしながら織る・・・!「関東は冬は加湿器だけど、新潟では除湿機が売れる」と言われるわけだ。
塩沢つむぎ記念館で話を聞くだけで気が遠くなる機織りの仕事を、やはり大勢の女が分業して助け合っていたのだろうと思うのです。
鈴木牧之記念館で、色々な話が紹介されていたけど、機織りの最初(糸をつくる)から最後(反物にする)までひとりでやろうとがんばった女が、できた織物にシミがあるのをみて発狂した話、どういう教訓よ・・とか思う。
燕三条地場産業振興センター
12年ぶりに燕三条地場産業振興センターにも行ってみた。男の冬仕事は鍛冶、というのも納得がいく。
まあ12年前と違って、道の駅に指定されて団体客がバンバン来ていて大盛況でした。でも売れ筋だけ置くようになった感じで品数は減ったかな・・。特に買うものもなく退散。
新潟市歴史博物館に行ったら、2019年が新潟港の海外開港150年目の節目ということで、港関連の展示満載。
新潟にいると、ロシアや中国の方が東京より近い感覚わかる。新潟空港の開港って昭和4年で、清水トンネルより先なんだよね・・・。
みなとぴあ館内
新潟を語る上で38豪雪(昭和38年)と新潟地震(昭和39年)と信濃川の洪水は外せないらしい。でも私は地盤沈下の話が気になった。原因は天然ガスのとりすぎ。天然ガス?
「新潟市は、河口の町なのでマキが少なく、主な燃料として昔からワラ・マツ・タキギのほか、天然ガスを使用してきました」「これが家庭用のコンプレッサーです」
えええ?いやいやふつう、天然ガスって出ないから。なにこの四段オチ。
ああそういや新潟って石油も出るんだったな。環太平洋造山帯の背斜にあたるから石油とガスがとれるのか・・・と高校地理を思い出す。
旧第四銀行
そんな話をしながら元銀行のレストランでランチをいただきました。
元銀行のカウンターの中でランチが食べられます。造作がすてきです。
白身魚がぷりぷりでおいしかったので、なんていう魚ですか?と聞いたら「ハチメ」です、という。はちめ?はちめってなに? と調べるとどうやらメバルの仲間らしい。北陸~東北の日本海側ではメジャーな魚らしい。
ちなみに夕食は寿司をいただきました。シャリが小さくて食べやすい。魚が新鮮! 岩ガキを頼んだら、うますぎて悶絶した。佐渡産。カキといえば冬の真牡蠣しかしらなかったけれど、この時期は岩牡蠣。大きい。分厚い。ジューシー!
2018-07-17
新潟がアニメに力を入れているというので
がたふぇすのレインボータワーのポスターがよかった。当然廃墟だろうレインボータワーにトキたちがいる。現実にも半廃墟となってるレインボータワーにトキが飛んでくることを夢想する。がたふぇす行きたかったなーと思ってたところに、レインボータワーがついに今秋解体されるというので、新潟市に行くことにした。
まあほんとはマンガ・アニメ情報館とかマンガの家とか行ってみたかったですが、市内激コミで近づけませんでした。
レインボータワーは、初めて新潟に行ったときに一度乗っただけなのだけれど、あの時の私は、私の人生で新潟市に行くようなめぐり合わせが来るなんて、という感慨が深かったから、新潟市=レインボータワーと思ってたものがなくなるのはさみしい。
市内のおばの部屋から、よく見える。これが見納め。
朱鷺メッセのばかうけ展望台からも撮影してみた。今やレインボータワーより高い建物はたくさんある。
それにしてもネーミングライツはあざといな・・。命名権の所有者が変わったら展望台の名前も変わっちゃうから記念にメダル購入してみた。200円。銅ぴか!思いっきりカメラ写りこんでます。
新潟に行ってみたら、新潟県立万代島美術館で近藤勝也展やってる!というので行ってきた。
近藤勝也の作品をかなり網羅していてうれしい。魔女宅やポニョは言うまでもなく、「海が聞こえる」や「雲のように風のように」まである。
丸紅新電力の鳥獣戯画は今回の展示で初めて知った。こういうの見るとアニメーションっていいなーって思う。うさぎの動きが女子すぎる・・(苦笑)。
こういう展示を都内でやったら人の頭ばかりで作品をじっくり見ることなんてできないだろうから、ゆっくり見られてよかった。
ジブリ展限定の小トトロおみくじ。めちゃかわいいけど値段はかわいくない810円。でも買っちゃった。小トトロのぬいぐるみ持ってたんだけど、対ダニ対策でぬいぐるみ大処分大会のときに処分してしまった。小トトロがたくさん並んでるのみたら、お前ずっと私の心の片隅にいたね、と思ってしまったのです。というのでお持ち帰り。
ぬいぐるみを買わない代わりに、陶器と張り子がじわじわと増えております。おみくじは大吉。やったね。
2018-07-12
玄関にて、靴と道具と災害への備え
玄関の扉を開くと正面が自転車。お気に入りのフライヤーは放っておくと無限に増えていくのでここだけにしてる。右側の天井まである靴箱は、当然靴が入っているけれども、やはり当然のごとく靴以外の方が多い。
一番上の踏み台ないと届かないところが非常時の備えで、25年保存の非常食(サバイバル・フーズ)と非常用トイレ(凝固剤)。一番上は基本一切触らない。これはもう災害時に家にたどり着けて、家が無事だった場合前提の非常用です。正直、家が無事なら避難所よりも家に居たい。
下半分はだんなの一番使用頻度が高い工具と洗車道具。ケルヒャーはもらいものだけど便利。車だけじゃなくて外構コンクリート類全般の掃除道具。1Fの窓網戸掃除にも。
中央・右は、私の庭仕事道具。鋏や薬剤はここです。ゴミの梱包材もここ。
さて、一番出し入れしやすい中央・左は、二人分の靴です。あと靴ケア道具。
だんなの靴は8足。ここにある仕事用・運動靴・夏靴。箱の中に礼服用・下駄・草履。車に雪靴・長靴。いずれも各1。
私の靴は14足。ここにあるローファー2・ワンストラップシューズ2。冬靴1・夏靴1。箱の中に草履4(普段・礼装・葬儀・雨草履)・下駄2。車に運動靴1・長靴1。
あと玄関に出しっぱなしのサンダル(外履きスリッパ)があるのでそれぞれプラス1。
私のローファーとワンストラップは、どちらも1足は超絶お気に入りの本革で、購入したのは実はもう20年くらい前になる。どっちも1度インソール替えてる。長く履きたいので簡単に履きつぶしたくないからローテーションさせるために、もう1足(合成皮革)がある感じ。
いわゆるパンプスって持ってない。あとロングブーツも持ってないな。
こう書きだしてみると用途別に各1足必要なので、結構あるけど全部いるなあ。今となっては人生を語る上で欠かせない趣味(和装とアウトドア)が、物が多い理由かな。もう特に増えもしないけれど、さして減りもしないのでした。
2018-07-08
外遊び用温度計を買い替える
キャンプやトレッキングの外遊び用にはEMPEXの「サーモマックス50 FG-5152」を使ってました。
ストップウォッチみたいで気に入っていたのだけれども、温度が正確に測れなくなったので買い替えです。
気温だけじゃなくて、水温も計りたい。できれば電池は使いたくない。デジタルじゃなくていい。あわよくば、庭作業用に土の温度とかも測れるといいな・・とか思って探しだすと、どうも棒状温度計最強らしい。
キーホルダータイプは小さすぎるなあ、でも棒状はキッチン用に持ってたのを見事に割ったことがあるので保護ケース欲しい、と探すと専用の金属ケースがある。カコイイ。
![]() 【smtb-TK】【頑張って送料無料!】ネコポスのため代引き・日時指定不可シンワ 金属ケース 棒状温度計用15cm 72731 |
ああでもこれってつまり、ユニフレームのペンサーモか!
![]() ユニフレーム(UNIFLAME) ODペンサーモ 681695 |
まあアルマイト加工はしてなくてもいいかな、というのでホームセンター行ったら園芸コーナーにありました。
EMPEXじゃないメーカーにしよう、と思い、佐藤計量器製作所。15cm棒状温度計+金属保護ケース。
温度計見るの楽しい。そろそろ体が暑さに慣れてきて、30度だと体感では涼しいレベル。
2018-07-07
日立駅の絶景カフェとバードに心広げる
日立駅は海のそばにありながらかなりの高台にあって、周辺駐車場と駅を写真のような陸橋でつなげている。絶景カフェはこの突き出たところにあるわけですが、前回行ったときは貸切で入れなかったので今回はリベンジ。
大きなガラス張りの広い通路。こういう広さや大きさをメインに据えた建築物大好き。ここから大煙突が見えるところもまたいい。
別にカフェに入らなくても、カフェ前にはカフェと同じ風景が見られる休憩所があり、無料で絶景が楽しめます。大海原。太平洋。そして海に突き出た道路。渋滞迂回のただのバイパスなのに、親不知の高速道路みたい!
この日もカフェは待ちができてましたけれど、タイミングよく入れ替わってすぐ入ることができました。まあやはり窓際に座りたいものです。海に向かって食べられるカウンター席の方が人気です。
パンケーキはお食事系で美味しい。私はフレンチトーストをいただきました。
私たちの旅行には珍しい晴天。大きなガラス張りの建物は、曇天も雨も好きだけど、こんな青い空が撮れる日に来られてよかった。心が晴れ晴れする。若いツバメが飛び回ってて、撮りたかったけどカメラがおいつかなかったー。
せっかくなのでシビックセンターにも立ち寄り。科学館やプラネタリウムも必見ですが前に見たので今回はショップちら見。新田次郎の「ある町の高い煙突」が来春映画公開とのことで、文庫が割引販売されてたので衝動買い。
図書館に行けば大抵置いてある郷土出版社と図書刊行会の写真集。日立市立図書館にも当然あります。倒れる前の大煙突の写真がカラーで見られて満足。
旅行の目的って色々あるだろうけれど、私はその土地の恵みがわかる旅が好き。それは単なる大自然だけではなくて、その地形・地理・風土・気象・鉱物があったからこういう産業や町が生まれたって直結しているのがわかるところ。食べ物や飲み物や特産品もそうだけど、工業製品や建造物や民芸品まで。その土地に行って初めてわかることがある。それぞれがそれぞれの光と影を持って、土地の神髄を語ってくれる。それが私の生活の延長線上にあるとわかるから、国内旅行の方が好き。
私の定宿・ルートイン日立多賀(なんと土日の方が安い)で宿泊。
小美玉市四季文化館「みの~れ」
翌日、小美玉市に立ち寄り。「みの~れ」もガラス張りの開放的な建物で好き。外も芝生が広がってて素敵。
でも今回は建物見に来たのではなくて、「BIRD」を見に来たのです。だんなは最初仕事でここにきたらしいが、やたらヘンな鳥がたくさんいて、イメージキャラクターになっている、というので、その日のうちにハンカチとカレンダー買ってくるレベルで惚れたらしい。館内に絵があったからゆっくり見たい、というので行ってみたらたくさん飾ってあった。
あはは。誰にも見向きされてないけど、ひとつひとつじっくり見ます。かわいい。たのしい。見に来るまで知らなかったけど、ひとつひとつ絵の一部が立体になってるのも楽しい。「みんな違ってみんないい」って感じ。たぶん見る人によっては「揃いも揃ってみんなダメ」なんだろうけど(大笑)。
ちなみに買ってきたハンカチは額に入れておうちに飾ってますわ。
おみたまヨーグルト&おみたまプリン
茨城空港に立ち寄って、小美玉特産食べる。おみたまプリンが卵濃厚! そういや展望デッキの偏向ガラスは透明化されてた。開港時は航空自衛隊百里基地を見えないようにするために左側をみると白く曇るという、びっくり加工がありそんな見られたらまずいものが!?と思ったものだけど、開港4年目で撤廃されたようだ。それはそれでつまんないなーw
戦闘機展示
F4ファントム戦闘機では、すずめが何匹も戯れていて、いいすずめの巣になってました。
キャノピーのスズメ
2018-07-03
とりあえず鉱山に行けば仕事のモチベーションは維持される
写真は、2015年11月の足尾銅山。20年ぶりくらいの再訪でした。
20年前に「あの教科書に出ていた田中正造の足尾銅山」と思ってテーマパーク「足尾銅山観光」に行ったときには、田中正造の田の字も見つけられず、従業員を守るために防塵マスクとか短時間交代労働とか、ちゃんと対策してたんですよ!という説明パネルばかりで、その会社第一主義姿勢にえらい衝撃を受けたものでした。そしてはげ山におののいたものです。
足尾砂防えん堤は昭和30年完成。流出する土砂を食い止めるダムは7段にもなる。足尾銅山に緑が戻ってきている、というニュースを聞きつけて行ってみたのだけれど、季節が悪かったなあ。でも緑が回復しているのは明らかで、こんなにも・・!と感慨深くなりました。田中正造の説明パネルも1つ見つけられました。
足尾環境学習センターに行ったら、前年の2014年5月に平成天皇が足尾を訪問されたという記事が出ていて、この20年利根川流域に住んでいたというそれだけの私でも、緑の復活とともに田中正造の直訴がここにきてようやく終結した気になったのでした。
まあ鉱滓ダムは現役ですし、何も終わってはいませんが。
*
写真は今年5月の愛媛帰省で行ってきた別子銅山。見える範囲全部はげ山になって台風による土砂崩れで大災害もあったという。
別子銅山は昔っからある観光地で、テーマパーク化したときに一度行ったことがある。「ウーパールーパーがマイントピア別子にやってきた!」で宣伝していたという同年代の人が聞けば嗚呼!というような時代。・・すらすっかり忘れた頃に「東洋のマチュピチュ」というよくわからないキャッチで5年ほど前から東平(とうなる)地区を売り始めた。
離合甚だしい四国の道をレンタカーで行くのはいやなのでツアーに参加。バスで20分ひたすら登るのはマチュピチュ感ある。行った先の遺構は少ないけれども、鉱山に行けば必ず思い出す「ラピュタ」感がある。別子銅山の閉山3年前に完成したという大斜坑の地図も必見です。
索道基地跡
そしてもうびっくりするほど、住友万歳なツアー内容でした。はげ山に緑を復活させるための部署が今の「住友林業」、亜硫酸ガスの無公害化対策の部署が今の「住友化学」エトセトラと、枚挙にいとまがないので逆に納得する。
ああこういう話を聞くと、日立の大煙突は、あれはあれでとても成果を挙げたのだ、と思い知らされたのでした。
*
日立市の大煙突は、常磐道を走っていれば気づく。ずいぶん古くて大きな煙突があるなと思っていた。最初に日鉱記念館に行ったのは2013年だったと思う。大煙突完成は大正4年。平成5年に倒壊する前までは155メートル超という、今の3倍もの高さを誇ってたらしい。日鉱記念館には書物の資料が全然ないので、日立市の郷土博物館や図書館にも行ってみた。正直大煙突はひたすら薄めるだけだと思っていたけれども、それでも絶大な効果を発揮したようだ。
別子銅山が四阪島に製錬所を移したのが明治38年だけど、これはかえって煙害を広範囲に広げる結果となっており、ここらへんが瀬戸内と太平洋の違いだなと思わされる。
結果として亜硫酸ガスの無公害化は別子銅山の方が対応は早く昭和14年。ちなみに足尾銅山は昭和31年。日立鉱山が亜硫酸ガスの完全な無公害化を達成するのは昭和47年なのでむしろ遅い方なのだけれど、大煙突がいかに人々の心の支えになってたかをおもんぱかるのです。
写真は先週行ってきた日鉱記念館。見るのは2回目だけど、必見の「日立鉱山の鉱床と坑道の透視図」。アリの巣みたいな坑道の総延長は700km。鉱床を求めて右往左往している様もよく見て取れる。
日本四大鉱山に数えられるほどになった日立鉱山(前身・赤沢銅山)だけれど、断層にぶつかり鉱床が見つけられなくてまったく掘れなくなった時があったというから、鉱床を探すのはかなり大変だったろうと思う。
日鉱記念館には坑道が再現されているのだけれど、再現で置いてある岩がもう、ほんとにキラキラしていて!こんな岩を見せられて、掘れば掘るほど金になると言われれば、そりゃ神々しく見えるだろう、と想像する。
今、JX金属がチリで掘ってる銅の含有量は1%だという。都市鉱山のレアメタル含有量は3%と言われるから、リサイクル推進すべし、です。守谷市もレアメタル回収がんばってますよ。
参照:不要になった小型家電で、東京オリンピック・パラリンピックのメダルを作る「都市鉱山でつくる!みんなのメダルプロジェクト」に参加しています
日立製作所が日立製作所たるところの削岩機! 鉄の塊モエ。
奥が大煙突。手前は阿呆煙突。
というわけで残りひとつの秋田の小坂鉱山にもそのうち行ってみたい。
2018-07-01
御岩神社がよかったので御岩山に登拝することにした
日立の御岩神社がすごいらしいから一度行ってみてよ、と友人がいう。日立市ってこれまでに何回も遊びに行ってるけどそんなの知らない・・と思ってネットで調べると、うさんくさいパワスポ話がいっぱい出てきた。御岩神社の社格は村社だけど水戸藩の国峰らしい。188柱が祀られているけど、トップに国之常立神が出てくるあたり、記紀以前の相当に古い神社であることが予想される。
御岩神社のご神体は、特定の岩というよりも御岩山そのものだろうと予想された。御岩山は常陸國風土記にでてくる「かびれの高峰」とされる。かびれ、という名前が気になった。漢字で書くと「賀毗禮」らしいが、これは当て字だろう、と調べると、ポリネシア語・マオリ語だという話が出てきた。「カピ・レイ」の転訛と思われ、「宝物が表面を覆っている山」らしい。へえ面白い。日本人は北方民族と南方民族との混血と言われてて、記紀の海彦山彦の話がポリネシアから伝わったものというのは私にとっては既知の話。
参照:ポリネシア語で解く日本の地名・日本の古典・日本語の語源
でもこういうのは、実際に行ってみないとわからない。
行ってみて、よかったら御岩山登ってみることにしようか、と行ってみたら、よかった! 愛されていて、それに応えていて、誠実で地力を感じる。
ちなみにこうやって行ってみたら気分がよかったせいで、急きょ山登りすることになるパターンは多い。ついこの間の天狗寺とかね(参照)。山形の出羽三山神社とかね。
御岩神社には朝8:00到着。駐車場は狭いけれども、第3駐車場まで確保してある。第1駐車場が狭くて驚いたけど、転回しやすいように配慮されてる。きれいなトイレ!自販機付きの休憩所!さらに登山者向けの靴洗い場まである。
せせらぎがキレイ。三本杉が立派。本殿に挨拶してから、登拝開始です。
白いガクアジサイとドクダミがたくさん咲いてた。
キイチゴ摘まみつつ(たぶんニガイチゴ)。光らない昼行性のホタルはオバホタル。たくさん飛んでました。
山道の横をせせらぎが流れていてうれしい。せせらぎがなくなる頃、木の根道。御岩神社の奥宮にあたるかびれ神社に到着。山頂はまだかかります。
片道60分程度で山頂到着9:30。標高530m(珍しくぴったり)。筑波山よろしく岩場で展望できます。
御神体の岩はあったけど、これはきっとわかりやすさを求める私たち用の仮の姿かな。途中で見た岩場の方がよほど御神体ぽかった。山頂が混んできたので下山。裏参道もせせらぎがある山道でうれしい。上りと下りが別なので人に会う回数が少ないのもうれしい。最後にもう一度本殿参拝します。
登山しなくても本殿の周辺は一面緑できれい。異例の梅雨明けで夏の日差し。でも木の陰で涼しい。いい時期に来たな、と思う。気分がいいので屋台で肉おにぎりと串だんご買う。
どうも去年まで改修事業をしていたようで、建物がやたら新しくて銅張の屋根でキレイ。と思ったら奉賛者のトップに出てくるのが「屋根銅板一式 JX金属(株)日立事業所」だった。
ああ、もしかしたら太古の昔、神と呼ばれた山は、鉱山の露頭部だったのかもしれないと思う。
日立が日立として成立できたのは「赤沢銅山」なわけだし。(赤沢ってもう見たまんま!)。
参照:日立ジオサイト